

なんとなくずっと、「自分って何が得意なんだろう」って思ってて…。他の人みたいに得意なことがはっきりしてないんです。



うん、Aがそう思うのも無理ないよ。実は「強みが分からない」って感じるのって、才能がないんじゃなくて、“見えにくい仕組み”があるからなんだよね。



えっ…?見えにくい仕組みって…どういうことですか?



じゃあ一緒に「なぜ強みが分かりづらいのか」その理由から、少しずつ解いていこうか。これが分かると、自分に対しての視点も変わってくるからね!
「当たり前フィルター」が強みを隠す?



なんか、人から「それ得意だよね」って言われても、自分ではピンと来ないんです…。



あるある、それって「当たり前フィルター」っていう脳の仕組みのせいかもしれないよ。



当たり前…フィルター?



うん、自分にとって当たり前すぎることって、わざわざ“強み”って認識しないんだ。だけど他人から見たらすごく価値あることだったりするんだよ。
「自分の強みが分からない」と感じる人の多くは、決して能力がないわけではありません。その理由のひとつは、脳の“慣れ”のメカニズムにあります。私たちの脳には、選択的注意という仕組みが備わっており、外界の情報すべてに反応していたら脳がパンクしてしまうため、「自分にとって重要」と判断した情報のみに意識を向け、不要な情報は無意識にカットする働きを持っています。
そして、ここで重要なのが「自分にとって当たり前の行動や感覚」ほど、このフィルターで意識の外に追いやられてしまうという点です。たとえば、人の話を丁寧に聞ける、細かい変化に気づける、物事をコツコツ積み重ねられるなど、自分が無意識でできる行動ほど、「そんなの普通でしょ」と思ってしまい、“強み”として認識されなくなります。
これに加えて、心理学的には認知バイアスの一種「自己関連バイアス」や「ネガティビティ・バイアス」も関係しています。前者は自分に関する情報を歪めて解釈しやすい傾向で、「自分は大したことがない」と自分を過小評価してしまいやすい状態を作ります。後者は、人はポジティブなことよりもネガティブなことに注意が向きやすい脳の性質です。その結果、強みよりも弱みの方が目立ちやすく、強みが見えにくくなるのです。
これらの仕組みを知ることで、「自分に強みがない」のではなく、「強みに気づけないだけだったんだ」と前向きに捉えることができるようになります。自分では気づけない強みは、実は他人の目を通した方がよく見えるものです。だからこそ、自分の“当たり前”を疑い、他者からの評価や反応に耳を傾けることが、強みを発見する第一歩になります。
私たちの脳は、すべての情報を処理しきれないため、「今、必要だ」と判断したものだけに集中し、それ以外は無意識に無視するしくみを持っています。これを「選択的注意」といいます。この働きのせいで、自分にとって自然にできる行動や得意なことは“当たり前”だと認識され、本人の意識にのぼりにくくなります。
- 時間管理が得意でスケジュールを整えるのが自然にできる
- 人の話を丁寧に聞けるけど、それが“特技”だとは思っていない
- ミスにすぐ気づいて修正できるのが当たり前だと思っている
- 自分にとって自然にできることは“強み”だと気づきにくい
- 脳の選択的注意により“当たり前”は見過ごされやすい
- 他人からの評価や反応は“隠れた強み”を見つけるヒントになる
「比べるクセ」が自分の良さをかき消す?



SNSとかで、同世代の人がすごい活躍してたりすると、自分って何にもないなって落ち込んじゃいます…。



わかるよ、SNSってついつい“誰かと自分”を比べちゃう空間だもんね。でもそれって、脳の「比較回路」が働いてるせいなんだ。



比較回路…ですか?



うん、人間の脳って本能的に“他人と比べて自分の立ち位置を確認する”クセがあるんだけど、それが強すぎると、自分の良さまで見えなくなっちゃうんだよね。
人間の脳には、生存戦略として「社会的比較」を行うしくみが備わっています。これは進化心理学の観点から見ると、集団の中での自分の位置や役割を把握し、仲間から排除されないように振る舞うために必要な能力でした。特に「扁桃体」や「内側前頭前野(mPFC)」という脳の領域が、他者の行動や評価に過敏に反応する構造を持っています。
しかし現代社会では、この比較システムが過剰に働きやすくなっています。SNSやネットの普及により、他人の“成功の断片”ばかりが目に入るため、脳は「自分より優れている人がたくさんいる」と錯覚しやすくなり、自己評価がどんどん下がってしまいます。このとき、自分の得意なことや人に喜ばれてきた経験は「でもあの人には敵わない」と感じてしまい、強みとして認識されにくくなるのです。
さらに、心理学ではこの傾向を「上方比較」と呼びます。上方比較とは、自分より優れている人と比べて自信を失う現象のことです。これが続くと、自尊心が低下し、自分を否定的に見るクセが強化されます。その結果、「自分には何もない」「強みなんてない」と感じやすくなってしまいます。
この仕組みを知ることで、「強みがないんじゃなくて、比べすぎて見えなくなっていただけかも」と視点を変えることができます。他人との違いではなく、「自分の中の積み重ね」に目を向けると、ちゃんと見えてくるものがあるんです。
人間が無意識に「他人と自分」を比べて、自分の立ち位置を確認しようとする本能的な仕組み。これは安心や生存のために必要だったが、今は過剰に働きすぎて逆効果になることもある。
- 同じ職場で同期が活躍しているのを見て、自分は平凡だと感じてしまう
- SNSで人の成功ばかりを見て、自分の実績が無価値に思える
- 友達の得意分野と比べて、自分の得意が「しょぼく」見える
- 脳には「人と比べる」クセがあり、強みの自覚を妨げることがある
- SNSなどの環境で“自分よりすごい人”ばかり見えて、自信を失いやすくなる
- 強みを見つけるには、他人との比較ではなく“自分自身の積み重ね”に目を向けることが大事
「正解があるはず」と思いすぎて、自分の答えが見えなくなる?



強みって、ちゃんと見つけなきゃって思うんですけど…なんか“これ!”って確信が持てるものが見つからなくて…。



うん、その気持ちすごく分かるよ。でもね、もしかすると「強みって唯一の正解がある」って思い込みがあると、かえって見えにくくなるかもしれない。



たしかに…みんな「これが自分の強みです!」って断言してて、それと比べると自分はあやふやで…。



実はね、強みって“じわじわ見えてくるもの”なんだよ。探そうとしすぎると、逆に感じられなくなっちゃうこともあるんだ。
「強みを見つけなきゃ」と焦るほど、実は脳は“探す感覚”に偏ってしまい、内面の感覚に気づきにくくなることが分かっています。これは、認知心理学の中で言われる過度な目標志向思考(goal-oriented mindset)と関係があります。この状態では、「正しい答えを見つけること」ばかりに注意が向きすぎて、感覚的な違和感や小さな満足感など“自分の内側からの気づき”がスルーされやすくなるのです。
さらに、脳科学の観点では、「報酬系(ドーパミン系)」が過度に活性化すると、目に見える成果や外からの評価を強く求めるようになります。これは「内発的動機づけ」よりも「外発的動機づけ」に偏っている状態です。その結果、「誰かに認められる強み」を探すようになり、本来の“自分の得意”ではなく、“人に評価されやすいもの”ばかりを選ぼうとしてしまう傾向が強まります。
また、現代は「効率化・成果主義」が強く求められる社会であり、学生時代のテストや受験などで「ひとつの正解を当てる」ことに慣れてきた人ほど、自分の強みも「正解がひとつあるはず」と思い込んでしまいがちです。しかし、強みとは“価値観”や“経験”によって変化していくもの。見つけるものというより、“育てていくもの”と捉える方が自然です。
このように、「正解志向」や「評価志向」が強すぎると、逆に“自分の中の心地よさ”や“違和感のなさ”を感じとる力が弱まり、強みに気づきにくくなるのです。大切なのは「これかも?」という小さな手応えを繰り返し確かめていくこと。そこから、自分らしさが育っていきます。
「正解を出すこと」「成果を出すこと」を最優先に考える思考パターン。強み探しにも“正解”を求めてしまうため、主観的な感覚や得意さを見失いやすくなる。
- 周囲と比べて「これが自分の強みです」と断言できずに焦ってしまう
- 本当は得意だけど、明確な評価がないから“強み”と認められない
- 「これが強みです!」と自信を持つには資格や賞が必要だと思っている
- 「強み=正解がある」という思い込みが、自分の感覚を鈍らせてしまう
- 外の評価を気にしすぎると、本当の得意さや楽しさが見えにくくなる
- 強みは「探すもの」ではなく、「感じて育てるもの」と捉えることが大切





強みが分からないままでも、今の生活はできてるんですけど…でもたまに「このままでいいのかな…」って感じることがあるんです。



うんうん、すぐに大きな問題になるわけじゃないけど、その「なんとなく不安」って、心からのサインだったりするんだよ。



えっ、サイン…ですか?



そう。強みが分からないまま過ごすと、自分に合わない選択を繰り返しやすくなって、後から「なんでこんなに疲れるんだろう」って感じることが増えちゃうんだ。
「自分に合わない場所でずっと頑張り続けてしまう?



たしかに、今の仕事もなんとなく続けてるんですけど…毎日“これでいいのかな?”って不安になることがあって…。



うん、それって“違和感のサイン”かもしれないね。強みが分かってないと、“合ってない場所”に長くい続けちゃうことがあるんだ。



えぇ…それ、ちょっと心当たりあるかもです。



自分の強みが分かると、“自分に合った環境”を選ぶ指針になるんだよ。
「自分の強みが分からないまま過ごすこと」は、一見すぐに支障がないように見えて、実は大きな心理的コストを生み出します。心理学の中で重要な考え方のひとつに「パーソン・エンバイロメント・フィット理論(P-E Fit理論)」があります。これは、個人の性格や価値観・能力と、仕事や人間関係などの“環境”との相性が一致していると、モチベーション・幸福感・パフォーマンスが向上しやすくなるという理論です。
ところが、強みが分からないと「自分はどんな場所で力を発揮できるのか」「何が合わないのか」が分からず、偶然選んだ環境に“なんとなく”で適応し続けてしまいます。その状態では、たとえ能力があっても、発揮されにくくなり、「自分はダメだ」と誤解しやすくなります。
さらに、脳科学の視点では、こうした“合っていない環境”で長く過ごすと、脳の扁桃体がストレス信号を出し続け、慢性的な疲労感・無力感・不安感を引き起こします。また、報酬系がうまく働かず、やりがいを感じられなくなっていきます。そのため「がんばっているのに報われない」「努力しているのに認められない」という感覚が続き、心が少しずつ消耗していくのです。
逆に、自分の強みを理解できるようになると、「自分はこういう場所・役割が合っている」と判断できるようになり、環境選びに迷わなくなります。この理論と仕組みを知ることで、「私はダメなんじゃなくて、“合ってなかっただけ”かもしれない」と前向きに捉え直すことができるようになります。
「人と環境の相性」が合っていると、満足感や成果が高まりやすいという心理学の理論。強みを知ることは“自分に合う環境選び”に直結する。
- 周囲に合わせて職場を選んだが、ずっとモヤモヤ
- 評価されない場所で頑張り続けて疲れている
- 本音と違う方向に努力し続けて燃え尽きそう
- 強みが分からないと、自分に合わない環境を選びやすくなる
- 違和感を無視し続けると、心身にストレスが蓄積される
- 強みを知ることは、自分に合った“場所選び”の軸になる
選択のたびに自信を失っていく?



なんか、人生のいろんな場面で「これでいいのかな?」って悩んじゃって…正直、自分で決めるのが怖くなる時があります。



うんうん、分かるよ。強みが分からないと「自分はこうしたい」っていう軸が見えにくいから、決断するたびに不安になりやすいんだよね。



それで失敗すると、「やっぱり私はダメなんだ…」ってどんどん自信なくなって…。



それね、実は「決定疲れ」っていう脳の現象とも関係してるんだよ。強みの自覚って、それを防ぐための土台にもなるんだ。
私たちの脳は、1日に約3万5千回以上の選択をしているといわれています。そしてその選択は、多ければ多いほど「認知資源(思考エネルギー)」を消費し、決断の質が落ちる現象が生じます。これが**意思決定疲労(decision fatigue)**です。特に自分の強みや価値観といった“判断の基準”がない状態では、何かを選ぶたびにエネルギーを大量に消費し、決断する力そのものがすり減っていくのです。
さらに、選択に迷ったり、失敗したと感じたりしたときに起こりやすいのが、**学習性無力感(learned helplessness)**です。これは「どうせ自分が選んでもうまくいかない」「何をやっても変わらない」という無力感が心に染みつく現象で、心理学者セリグマンが提唱した理論です。この状態になると、自分の選択や努力に希望を持てなくなり、「私は間違える人間なんだ」という否定的なセルフイメージが強化されていきます。
強みが分かっていれば、「これは自分に向いている」と自信を持って判断できるため、意思決定にかかるエネルギーも減り、失敗への耐性も上がります。しかし強みが曖昧なままだと、「何を選んでも不安」「どれも自信がない」という状態が続き、選ぶたびに“自分の信用度”が下がっていく感覚に陥るのです。これを繰り返すことが、静かに自己肯定感を削っていくのです。
選択を繰り返すことで脳が疲れ、判断力が鈍る状態。基準(強み)がないと、脳への負担が増える。
- 転職のたびに「自分は何がしたいか分からない」と悩む
- 小さな選択でも決めきれず、毎回疲れてしまう
- 自分の決断を後悔しやすく、「やっぱり無理」と感じる
- 強みが分からないと、選択のたびに脳のエネルギーを大量に使ってしまう
- 決断ミスを繰り返すと「自分はダメだ」という無力感が根づきやすくなる
- 強みを知っていれば、迷わず判断できる軸になり、自信の貯金ができる
自己肯定感の低下と“他人頼り”の人生になってしまう?



最近、自分で決めるより、人にどう思われるかばっかり気になっちゃって…。正直、自分で自分を信じられてないかも…。



うん、それってすごく大事な気づきだよ。強みが見えてないと、「自分って何者なんだろう」って軸がブレやすくなるんだよね。



それで、正解を探すみたいに周りの声に頼っちゃって、でも後で後悔することも多くて…。



実はその状態って、脳の“自己評価システム”にも負荷がかかってて、放っておくと自己肯定感をどんどん下げてしまうんだ。
強みを自覚できていない状態が長く続くと、自分の中に「これが私らしい」という確かな感覚が育たず、常に他人の評価や意見を軸に動くようになります。心理学ではこれを**外的自己評価依存(external self-evaluation)**と呼びます。この状態では、自分の判断よりも「人からどう見られるか」「褒められるかどうか」で行動を決めてしまい、自己決定感が薄れていきます。
さらに、脳科学では、**内側前頭前野(vmPFC)**という領域が“自分への評価”に関わっていることが分かっています。この部位は、自己認識・自己肯定・価値判断などをつかさどる重要なパートで、ここが適切に働くことで、「私はこれでいい」という感覚が安定します。ところが、自分の強みや個性への理解がないと、この領域の働きが不安定になり、「自分なんて何もない」と感じやすくなります。
また、近年の研究では、**自己概念の明確さ(self-concept clarity)**が低い人ほど、ストレス耐性が弱く、感情調整がうまくいかない傾向にあることも分かってきています。強みの自覚がないと、自分自身の定義があいまいになり、外からの言葉や環境に左右されやすくなるのです。
このような状態が続くと、自己肯定感の土台が育たないまま、「誰かに認めてもらわないと存在価値が感じられない」という状態に陥りやすくなります。結果的に、自分で選んだ人生ではなく、“他人に決められた人生”を歩むようになり、後悔や無力感が積もっていきます。
自分の価値を「他人からどう見られるか」によって決めてしまう状態。強みを持っていないと陥りやすい。
- 他人のアドバイス通りに進んで後悔
- 褒められないと自信が持てなくなる
- 「自分らしい選択」が分からず迷子になる
- 強みを知らないと、自分で判断できず他人の意見に頼りやすくなる
- 自己評価に関わる脳の領域が不安定になり、自信を感じにくくなる
- 自己肯定感の土台が育たず、「自分の人生を歩んでいる感覚」が失われていく





「強みがない」ってずっと思ってたんですけど、もしかして、それって何か勘違いしてたのかな…って最近ちょっと思うようになってきて…。



うん、それすごくいい気づきだよ。実はね、「強み=特別な才能」と思ってる人、すごく多いんだけど、それがかえって自分の良さを見えにくくしちゃってることもあるんだ。



えっ…じゃあ、ちゃんと強みって見つけられるものなんですか?



もちろん。まずは「どんな思い込みが自分の視界を狭めてるのか」を一緒にほどいていこうか!
❌ 思い込み:強みは才能やセンスがある人だけに備わっている
⭕ 正しい捉え方:強みは“努力の蓄積”や“経験の中で育つもの”



私って、特別な才能とかセンスがあるわけじゃないから、強みって言えるものなんてないんです…。



それすごく多い誤解なんだよ。実は、強みって“生まれつき”じゃなくて、“育っていく”ものなんだ。



え?でも、小さい頃からできる子っているじゃないですか…。



たしかにスタートラインは人それぞれ。でも、強みになるのは「やってて楽しいこと」と「繰り返してきた経験」の交わる場所なんだよ。
「強み=生まれつきの才能」という思い込みは、心理学的には**固定的知能観(Fixed Mindset)**に基づく考え方です。これは、知能や能力は変わらないものであり、「できる人は最初からできる」と捉える考え方ですが、近年の研究ではこの考えが大きな誤解であることが明らかになっています。
一方、カリフォルニア大学のキャロル・ドゥエック教授が提唱した**成長マインドセット(Growth Mindset)によると、人間の能力や強みは「学習」「失敗」「継続」のプロセスを通じて育っていくとされます。脳の構造もこれを裏付けており、繰り返しの経験によって神経可塑性(neuroplasticity)**が働き、新しいネットワークが形成されることが分かっています。
つまり、強みとは“センスの有無”ではなく、“繰り返しの中で自然に磨かれていくもの”。たとえば、人より少し多くその経験を積んできたこと、長く関わってきたこと、失敗を乗り越えてコツをつかんできたこと。そうした積み重ねの中に「気づいていない強み」が眠っているのです。
この視点に立つと、「私は才能がないからダメだ」ではなく、「私はまだ気づいていないだけ」「育ってきた強みに目を向ければいい」と捉えることができます。それが、自分を肯定的に見る第一歩になるのです。
「才能は生まれつきで変わらない」という思い込み。成長や努力を軽視しやすくなる。
- 接客のバイトが長くて自然と人に気づける
- 何年も趣味で描いてきた絵に褒められる
- 失敗を重ねて工夫する力が身についていた
- 強みは「才能」ではなく、「経験や努力の積み重ね」で育つ
- 固定的知能観は、自己成長の可能性を閉ざしてしまう危険がある
- 自分の強みを肯定的に再認識できるようになる
❌ 思い込み:人と違う“特別な能力”でなければ強みとは言えない
⭕ 正しい捉え方:強みは“他人との差”より“自分にとって自然なこと”の中にある



強みって、人と違ってなきゃ意味ない気がするんです。普通のことなら、みんなできるだろうし…。



うん、その気持ちすごく分かるよ。でもね、実は「普通にできること」こそ、他の人には“できないこと”だったりするんだ。



えっ…それって、誰にでも当てはまることなんですか?



そう。強みって「他人と違う才能」じゃなくて、「自分にとって自然にできること」を深掘りした先にあるんだよ。
「強みは他人と違う何かでなければならない」という思い込みは、自己認識の精度を下げてしまう原因のひとつです。心理学では、自分を理解する力を**自己認知(self-awareness)**といい、この力が低いと、自分の内面よりも「他人との差」ばかりに注意が向き、自分の価値を外部との比較でしか測れなくなってしまいます。
この状態が続くと、脳は「他者との差異」を探すモードに入りやすくなり、やがて「自分には目立ったものがない=強みがない」という結論に陥りやすくなります。しかし実際には、人間の強みの多くは「目立たないけど継続できること」「人に喜ばれてきた経験の積み重ね」など、地味で主観的なものであることが多いのです。
また、自己認知に深く関わるのが脳の**島皮質(insula)**と呼ばれる領域です。ここは「自分の内的感覚」や「心地よさ・違和感」を察知する役割があり、他人軸ではなく“自分にとってどうか”を判断するために必要不可欠な部位です。しかし、他人とばかり比べていると、この島皮質の働きが弱まり、「自分にとって自然にできること」を感じ取りにくくなってしまいます。
つまり、“他人との違い”ではなく、“自分の中にある自然さや心地よさ”こそが強みを見つける起点になります。それに気づけた人ほど、「特別じゃないけど、これは自分の強みかもしれない」と思えるようになり、結果として自信や納得感も育っていくのです。
自分の感情や考え、得意・不得意を正しく理解する力。強みを知るための土台となる力。
- 丁寧に話を聞けるけど自覚していない
- 小さな改善に気づけるけど目立たない
- 周囲の空気を読んで自然に調整できる
- 強みは「他人と違うかどうか」ではなく、「自分にとって自然にできるか」が大切
- 自己認知が低いと、外との比較にばかり目が向き、自分の強みが見えにくくなる
- 「自分にとって心地いい行動」に目を向けると、強みの手がかりが見えてくる
❌ 思い込み:強みって、誰かの役に立ったり、社会的に価値があることじゃないとダメ
⭕ 正しい捉え方:強みは「他人の評価」ではなく、「自分の内側の喜び」から見つけるもの



私の好きなこととか得意なことって、別に人の役に立ってるわけでもないし…強みって呼べる気がしないんです。



うん、その気持ちよく分かる。でもね、強みって“役に立つ”かどうかじゃなくて、“自分が自然にやりたくなること”の中に眠ってることが多いんだ。



え、でも…そんな自分の満足だけでいいんですか?



いいんだよ。むしろ「自分が喜びを感じること」こそが、長く続いて強みになるベースなんだ。
「強み=人の役に立つこと」という思い込みは、多くの人が持っています。これは社会的な価値観や教育環境の影響で「評価されること」「成果になること」が“良いもの”とされてきた結果です。しかし心理学では、真に継続的なモチベーションは、外的報酬ではなく**内的報酬(intrinsic reward)**によって生まれるとされています。
この“内的報酬”とは、誰かに褒められるとか、役立つとかではなく、「自分がその行動自体を楽しめている」「やっているときに没頭できる」という感覚です。こうした体験は脳の**側坐核(nucleus accumbens)**と呼ばれる報酬系が活性化している証拠で、ここが働くとドーパミンが分泌され、心の満足度が高まります。つまり、役に立っているかどうかに関係なく「自分にとって心地よい行動」は脳が“ごほうび”として認識しやすく、自然と繰り返されるようになります。
また、心理学者チクセントミハイによるフロー理論でも、自分が没頭できる活動は「人の評価」とは関係なく、内発的動機に支えられているとされています。そして、このような活動の中からこそ“長期的に育つ強み”が生まれるとされています。
つまり、目立たなくても、役に立っていなくても「やっていて心が満たされること」こそが、強みの始まりです。評価や効率ばかりを気にするのではなく、「自分が喜べる時間」に目を向けることが、本当に価値ある強みにつながるのです。
他人の評価ではなく、自分の“好き”や“やっていて心地よい”と感じることに対するごほうび感。
- 地味だけど整理整頓が好き
- ひとりでコツコツ続けられる趣味がある
- 人から見えないけど細かいミスを見つけるのが得意
- 強みは「目立つかどうか」や「役に立つか」ではなく、「自分にとって自然で心地よいか」が大事
- 内的報酬は脳に“ごほうび”として刻まれ、自然と繰り返したくなる行動になる
- 自分が没頭できるものの中にこそ、長期的に育つ強みの種がある





ここまで話してきて、強みって「ないんじゃなくて、見えにくくなってるだけ」って分かってきた気がします…。でも、実際どうやって見つけていけばいいのか、まだ少し不安で…。



うん、その不安はすごく自然なことだよ。今までは「特別な何か」を探そうとしてたかもしれないけど、実は“気づいていない日常の中”にヒントがたくさんあるんだ。



えっ、そんな身近なところにですか?



そうそう。これから紹介する方法は、今のAみたいに「なんとなく分かってきたけど、まだモヤモヤする」って人にぴったりな“強みの見つけ方”だから、安心して取り組んでみてね。
「人に聞いてもピンと来ない」は“当たり前の中”にあるから?



人から「それ得意だよね」って言われることはあっても、自分ではピンと来ないというか…なんだか信じきれないんですよね。



それ、すごくよくあることだよ。強みって、意外と“自分にとって当たり前すぎること”に隠れてるからね。



えっ、当たり前すぎて分からない…?



うん。本人にとっては「普通」で、苦労してないからこそ「特別なもの」に感じられないんだ。でも、他の人から見たら「すごい!」って思われてることって、実はそこにあるんだよ。
強みが分からない原因の1つに、「自己判断による過小評価」があります。心理学ではこの傾向を自己奉仕バイアスの逆転現象と呼び、自分にとって自然にできる行動や能力を「価値が低い」と感じてしまう傾向があります。脳の働きとしては、**前帯状皮質(ACC)**が関係しており、この部分は「エラー検出」や「自己の矛盾」を認識する領域です。この領域が活性化しすぎると、自分のポジティブな要素に対しても“違和感”や“謙遜”を感じてしまいやすくなります。
また、**選択的注意(selective attention)**の影響も大きく、脳は“当たり前”になった情報はフィルターにかけて意識に上がらないよう処理します。つまり「自然にできること」ほど、自覚しにくく、無意識にスルーされてしまうのです。
他人の視点は、こうした“無意識にスルーしている自分の特性”を教えてくれる重要なヒントです。特に、他人が「なぜそれができるの?」と驚くような行動や反応は、本人にとっては簡単でも、他者から見ると明確な強みに映ります。
自分の中で“価値のないもの”と処理されていた行動が、実は他者から見たときに“素晴らしい能力”として受け取られていることに気づくと、強みへの見え方が大きく変わります。
自分の行動を「大したことない」と過小評価するクセ。謙遜や当たり前感覚により、強みを否定しがち。
- 「それ丁寧だね」と言われても「普通でしょ」と流していた
- 仕事の進捗が早いと言われるが、自分ではスピード意識していない
- 相手の感情に気づけるが、自分では“当たり前”なので特別と思わない
- 自分の“当たり前”は、他人にとっての“すごいこと”かもしれない
- 脳は自然にできることほど無意識にスルーしてしまう性質がある
- 他人の言葉をきっかけに、強みのヒントを再発見できる
このワークでは、過去に人から言われた「褒め言葉」や「驚かれたこと」を振り返り、それに対して自分がどう感じたか、なぜそう思ったかを整理していきます。ポイントは、「なんとも思わなかったこと」や「当たり前すぎて反応しなかったこと」に注目することです。自分では“普通”だと思っていても、他人から見たら特別なことだった、というケースはよくあります。
たとえば「いつも気が利くよね」と言われたときに、「いやいや、そんなの誰でも気づくよ」と思ったとします。でもそれは、あなたにとって自然にできてしまうこと=強みの可能性が高いのです。
このワークを通じて、“自分では評価していなかったけど、人から見たら価値がある行動”に改めて気づくことで、自分の強みの輪郭がクリアになっていきます。
「正解探し」をやめて、“しっくりくる感覚”を信じてみる?



強みって、これだ!っていうはっきりした正解が見つからないとダメなのかなって思ってて…いろいろ探しても自信が持てなくて。



うん、それね、「正解を探すモード」になりすぎると、自分の中の“しっくりくる感覚”に気づけなくなることがあるんだ。



たしかに、「これが強み!」って言い切れるものがなくて、もやもやしっぱなしです…。



実は、強みって“少しずつピンとくるもの”なんだよ。完璧な答えじゃなくて、「違和感のなさ」や「自然なフィット感」こそがヒントになるんだ。
私たちは学校や社会で「ひとつの正解を出す」ことに慣れているため、強み探しにも“明確な正解”を求めがちです。しかし実際のところ、強みはテストの答えのように一発で見つかるものではなく、**内的フィット感(subjective fit)**を積み重ねて見えてくるものです。
この“しっくり感”は、脳の**島皮質(insula)**が司る「内受容感覚」によって生まれます。島皮質は“身体感覚”や“感情の微妙な動き”をキャッチする領域で、「なんとなく心地いい」「なんか違和感がある」といった直感的な反応は、実はこの領域の働きによるものです。強みとは、まさにこの“違和感のなさ”の中に存在します。
さらに、心理学では**直観的判断(intuitive judgment)**が「自己にとっての納得感」を支えることが分かっています。これは、無意識レベルで自分の経験や価値観と一致しているかを判断する仕組みで、他人の基準ではなく“自分の中での整合性”が重要視されるのです。
つまり、「これが正しい強みです」と他人に言われた答えではなく、「なんか自分に合ってるかも」「やってて苦じゃないな」といった感覚こそが、強みの最初のサイン。正解を探すことより、自分の内側の違和感の有無に耳を傾けることが、強みの“芽”を見つけるために最も効果的なのです。
自分にしっくりくる・合ってると感じる感覚。直感に近いが、経験に根ざした“自分なりの正解”。
- 「これをやると安心する」と感じる作業がある
- 他のことより“疲れず集中できること”がある
- なぜかよく「それ得意だね」と言われることが“しっくりくる”
- 強みは“正解”ではなく、「しっくり感」や「違和感のなさ」で見つけるもの
- 脳の島皮質は、その“合う・合わない”をキャッチするセンサーとして重要
- 自分の感覚に耳を傾けることが、強みの“感情的な輪郭”を教えてくれる
このワークは、「これは自分に向いているかも?」と感じた体験を日々記録しながら、“自分なりのしっくり感”を見つけていくためのツールです。
強みは「これが正解!」と断言できるものではなく、「これなら自然にできる」「疲れない」「気づいたら続けてる」という感覚の中に見つかります。
毎日の中で「なんかこれ好きだな」「やってて落ち着くな」という出来事や、「いつもより集中できた」「あんまり苦じゃなかった」と思える行動を振り返り、下の表に沿って記録していきます。
この記録を続けることで、自分の中にある“静かな強みの種”を少しずつ見つけていくことができます。答えを出そうとするのではなく、「感覚に気づく」ことが目的です。
「誰かのため」より「自分が満たされること」にヒントがある?



強みって、人の役に立ってたり、評価されたりするものじゃないとダメだと思ってました。自己満足だけのことに意味があるのかな…って。



うん、その感覚、すごくよく分かる。でもね、強みの芽って“誰かに役立つこと”じゃなくて、“自分が自然とやってしまうこと”の中にあるんだよ。



えっ、役に立ってなくてもいいんですか?



むしろ“満たされること”を大切にしてる人ほど、自分らしさを育てていけるんだ。強みは「自分との信頼関係」から育つものなんだよ。
多くの人は「強み=他人の役に立つもの」「社会的に価値があるもの」と考えがちですが、心理学の観点では、真に継続的で本質的な強みは**自己充足動機(self-concordant motivation)**に基づくものだとされています。
自己充足動機とは、「自分が本当に大切にしたいと思えること」「やると気持ちが満たされること」からくる内発的な行動意欲のことです。このような行動は、外部からの評価がなくても自然と続けられ、やがて熟達や強みに変わっていきます。
脳の構造的にも、**背内側前頭前野(dmPFC)**という領域が「自己と価値の一致」に関わっており、ここが活性化しているとき、人は自分の感情や信念に沿った行動に満足感を感じることが分かっています。つまり「役に立っていないけど好きなこと」「誰にも評価されないけどやりたいこと」が、実は“自分らしさ”や“幸福感”の根源になっているのです。
このように、強みは「人にどう見られるか」ではなく、「自分との対話の中で生まれる実感」から育ちます。他人基準で強みを探しても、自分の人生にフィットするとは限りません。まずは“自分の心が満たされる行動”を受け止めることで、揺るがない強みの種が根を張っていきます。
「自分にとって意味がある」「自分が好きだからやりたい」と感じられる内側からの動機。継続や強みの土台になる。
- 子どもの頃から一人でコツコツ工作するのが大好きだった
- 誰に頼まれてもいないのに、つい本をまとめて共有したくなる
- 人に言ってないけど、ノートに気づきを書きためてるのが楽しい
- 強みは“誰かのため”より“自分が満たされること”から育つ
- 自分の価値観や感情に沿った行動が、継続力や幸福感につながる
- 他人の視点を外して、自分の気持ちを軸に行動を見つめ直すことが重要
このワークでは、「役に立つかどうか」「他人から見てどうか」を一度横に置いて、「自分が自然とやりたくなること」「やっていて心が満たされること」を掘り下げていきます。
ポイントは、“他人からどう見えるか”を気にせず、素直に「楽しい」「好き」「もっとやりたい」と思えることに目を向けること。どれだけ小さなことでもかまいません。それが将来の強みに育つ“芽”かもしれません。
また、それがどんな気持ちを生んだのか、やった後にどんな余韻があったかも記録しましょう。自分の内面の充足を丁寧に観察することで、「これが自分にとって大事なんだ」という感覚を育てていくワークです。





今までいろいろ考えてきたけど…正直、自分に強みなんてあるのかなってまだ疑ってしまうんです。



うん、その感覚、すごく自然だよ。強みって「自分で信じきれてない」ことがほとんどだからね。でもね、実は“変われる仕組み”って、ちゃんと脳にも心にも備わってるんだよ。



えっ、私みたいにずっと分からなかった人でも…?



もちろん。今から紹介する3つの根拠は、「自分にも可能性がある」って感じてもらうための、科学的な味方だよ。
脳は“後から”強みをつくる機能を持っている?



強みって、昔から得意だった人が見つけるものって思ってました。



ううん、実は“今から育てる”っていう考え方の方が、脳の仕組みに合ってるんだよ。



えっ、今からでも強みって作れるんですか?



そうそう。脳は経験や反復を通して“後から回路を組み替える”機能があって、それが強みの土台になるんだ。
人間の脳には**神経可塑性(neuroplasticity)**という働きがあります。これは、経験や学習、繰り返しによって脳の神経ネットワークが変化・成長する仕組みで、近年の脳科学で最も注目されている概念の一つです。
これまでは「大人になったら脳の成長は止まる」と思われていましたが、今では年齢に関係なく、使い方次第で脳の回路は再構築され、能力や習慣も変化することが明らかになっています。つまり、“もともとの才能”ではなく“繰り返し使った回路”が「強み」になっていくのです。
さらに、反復によって発火する神経同士が結びつきやすくなる現象を**ヘッブの法則(Hebb’s Rule)**といいます。「一緒に発火する神経はつながる」という法則で、たとえば「人の話を丁寧に聞く」「整理する」「まとめる」などを日常的に繰り返すことで、それらの行動を支える脳のネットワークが強化されます。
こうして作られたネットワークは、本人にとって“自然な行動”となり、結果として他人から「それ得意だね」と言われるようになります。つまり、今は強みが見つからなくても、日々の中で自分らしい行動を繰り返していくことで、後から脳が“それを得意にしてくれる”のです。
脳の神経回路が経験によって変化・成長する能力。大人でも脳は育つ。
- 仕事で説明を繰り返すうちに「説明上手」だと周囲に言われるようになった
- 毎日ノートに考えを書く習慣から「気づき力」が高まった
- 趣味のSNS投稿で、自然と文章力や構成力が育っていた
- 脳は“生まれつき”より“繰り返し”で強みを作る仕組みがある
- 神経可塑性により、大人でも後から能力は育つ
- 小さな習慣の反復が、やがて“自然な強み”に変わっていく
“好き”や“快”の感覚は強みになる?



私って何が得意か分からないけど、なんとなく「これ好きだな」って思うことはあるんです。でも、それって強みとは関係ないですよね…?



いや、それ、むしろ一番大事なサインだよ!好きなことをやってるときの“心地よさ”って、脳の反応としても強みにつながるヒントなんだ。



えっ、感覚的なものが根拠になるんですか?



うん。“快”を感じる行動は脳の報酬系が反応してて、続けやすいし、自然に上達もしやすいんだよ。
強みが育つ背景には、「好き」「楽しい」「落ち着く」といった感情の反応があります。これらのポジティブな感覚は、脳内で報酬系(reward system)と呼ばれるしくみによってコントロールされており、特に側坐核(nucleus accumbens)という部位が活性化することでドーパミンが分泌されます。
ドーパミンは「もっとやりたい!」という欲求や集中力を高める神経伝達物質で、自分が心地よく感じる行動を繰り返すことで、脳は「これは価値のある行動だ」と学習し、その行動を得意なもの=強みとして習慣化していきます。
また、報酬系が働いているときは、ストレスホルモンの分泌が抑えられ、**前頭前野(PFC)**の働きが活性化します。この状態では、判断力・集中力・創造力が高まりやすくなり、結果として“得意になりやすい”環境が整います。つまり、好きなことを続けることは、科学的にも「強みになる土壌を整えている」ということなんです。
このように、「自分が満たされる・安心する・ワクワクする」といった内面的な快感情は、脳にとって“伸ばすべき対象”として自然に認識されるため、強みを育てる最も自然で無理のない入口になります。
脳が「楽しい・嬉しい」と感じることで活性化し、行動の継続や習慣化を促す仕組み。
- イラストを描いているときに時間を忘れる感覚がある
- 本をまとめるのが楽しくて、つい人に話したくなる
- 一人で黙々と作業してる時間が“落ち着く”と感じる
- 「快」や「好き」と感じる行動は、脳の報酬系が強く反応している
- ドーパミンの分泌によって“もっとやりたい”気持ちが自然に高まり、継続しやすくなる
- 感情的な心地よさは、強みを育てるための最も大切な入口になる
自分の声に耳を傾けると、強みは自然に見えてくる?



強みって考えれば考えるほど分からなくなっちゃうんです…。結局、人の言葉とか基準に流されて、ますます混乱して。



うん、それすごくあるある。人の意見を気にしすぎると、自分の本音が聞こえにくくなっちゃうんだよね。



でも、私みたいに自分の気持ちをうまく掴めない人でも、分かるようになるんですか?



もちろん。実は“メタ認知”っていう力を育てると、自分の中の感覚にちゃんと気づけるようになるんだよ。
強みを見つけられない理由のひとつは、「自分の中にあるサイン(違和感・心地よさ・ワクワク)」に気づけていないことです。この“気づき”を高めてくれるのが**メタ認知(metacognition)**という力です。これは「自分が何を考えているのかに気づく力」「考えを一歩引いて見つめ直す力」のことです。
メタ認知が高い人は、自分の感情や思考の流れを冷静に観察できるため、「これやってると疲れるな」「これなら自然にできる」といった内面的な変化にも気づきやすくなります。これにより、“他人軸”ではなく“自分軸”で強みを見つけられるようになります。
この力を支えているのが、脳の**背外側前頭前野(dlPFC)**という領域です。dlPFCは自己コントロールや思考のモニタリング、行動の調整などをつかさどる領域で、ジャーナリングや内省、コーチングを通して活性化されることが分かっています。
つまり、自分の内面に注意を向ける習慣をもつことで、「自分の好き」「合ってる」「しっくりくる」といった“静かなサイン”をキャッチしやすくなり、そこから自然に「これは自分の強みかもしれない」と感じられるようになるのです。強みとは、“探すもの”というより、“気づくもの”という認識が大切です。














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